授業名疾病の予防(99P4327)授業名(英)Prevention of disease
教員名小野田 淳人,武田 健,福島 聡
開講年度学期2021年度 後期
曜日時限月曜2限
開講学科薬学部薬学科

単位2.0学年3年
区分専門科目課程必修

概要人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献できるようになるために、現代社会における疾病とその予防に関する基本的知識、技能、態度を修得する。また、人々(集団)の健康と疾病の現状およびその影響要因を把握するために、保健統計と疫学に関する基本的事項を修得する。さらに、健康を理解し疾病の予防に貢献できるようになるために、感染症、生活習慣病、職業病などについての現状とその予防に関する基本的事項を修得する。前半で講義する「集団と健康」では、健康と疾病の概念、保健統計、疫学について、後半で講義する「疾病の予防」では、健康と予防、感染症とその予防、生活習慣病とその予防、母子保健、労働衛生に関して学習する。

(オムニバス方式:定期試験を含む全16回)
(武田 健:第1回, 計1回)
人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献できるようになるために、現代社会における疾病とその予防に関する基本的知識、技能、態度が修得できるよう、イントロダクション的な講義を行う。

(福島 聡:第2回~第6回, 計5回)
保健統計と疫学に関する基本的事項について講義を行う。

(小野田 淳人:第7回~第16回, 計10回)
健康と予防、感染症とその予防、生活習慣病とその予防、母子保健、学校保健、労働衛生、高齢者保健に関して講義を行う。
達成目標【人々の健康の維持・増進、疾患の予防に貢献するための薬学を修得すること】
薬学に携わる者にとって必須の知識である「健康と疾病の概念」「保健統計」「疫学」「健康と予防」「感染症の予防」「生活習慣病の予防」「母子保健」「労働衛生」について深く理解し、その知識を必要とする人たちへ過不足なく説明、互いにコミュニケーションできるだけの知識・技能・態度の三点を身につけることを到達目標とする。具体的には、以下に挙げた項目の習熟を目標とする。

1. 健康と疾病の概念の変遷と、その理由を説明できる。
2. 集団の健康と疾病の現状およびその影響要因を把握する上での人口統計の意義を概説できる。
3. 人口統計および傷病統計に関する指標や人口動態(死因別死亡率等)の変遷について説明できる。
4. 疾病の予防における疫学の役割を説明できる。
5. 疫学の三要因(病因、環境要因、宿主要因)や疫学の種類(記述疫学、分析疫学など)、疫学の手法について説明できる。
6. リスク要因の評価として、オッズ比、相対危険度、寄与危険度および信頼区間について説明し、計算できる。
7. 疾病の予防について、一次予防、二次予防、三次予防という言葉を用いて説明できる。
8. 健康増進政策(健康日本21など)について概説できる。
9. 現代における感染症(日和見感染、院内感染、新興感染症、再興感染症など)の特徴について説明できる。
10. 感染症法における、感染症とその分類について説明できる。
11. 代表的な性感染症を列挙し、その予防対策について説明できる。
12. 予防接種の意義と方法について説明できる。
13. 生活習慣病の種類とその動向、代表的なリスク要因、予防法について説明できる。
14. 食生活や喫煙などの生活習慣と疾病の関わりについて説明できる
15. 新生児マススクリーニングの意義について説明し、代表的な検査項目を列挙できる。
16. 母子感染する代表的な疾患を列挙し、その予防対策について説明できる。
17. 代表的な労働災害や職業性疾病、労働衛生管理について説明できる。
学習教育目標
成績評価方法通常講義の3分の2以上(定期試験を除く15回中10回以上)出席という条件を満たした者が成績評価の対象となる。出席回数が3分の2に満たない者に関しては、成績評価の対象外として自動的に「不可」となる。成績評価は、学習への意欲・態度、第7回で実施する到達度確認、第16回で実施する定期試験により総合的に判定する。
具体的には、

◎学習への意欲・態度:10点
第1回~第15回の講義を通して判定する。毎回の講義に対する意欲(予習・復習、質問等)、講義中の積極発言、レポートや課題などを考慮して点数化する。

◎到達度確認:40点
・健康と疾病の概念(到達目標1)
・保健統計    (到達目標2, 3)
・疫学      (到達目標4, 5, 6)

◎定期試験:50点
・健康と予防     (到達目標7, 8)
・感染症の予防    (到達目標9, 10, 11, 12)
・生活習慣病の予防  (到達目標13, 14)
・母子保健と学校保健 (到達目標15, 16)
・労働衛生と高齢者保健(到達目標17)
上記項目に関する問題を作成し、試験を行う。到達度確認と定期試験の問題は100点満点で作成し、評価の際に到達度確認を40%,定期試験を50%に圧縮する。

成績評価は大学および学部が定める成績評価基準によって行い、その基準に従って到達目標の60点以上に達したものを合格とする。達成目標の60点に達しなかった者は再試験を1回だけ行い、目標の60点以上に達した者をC表記60点として合格とする。なお、再試験の場合は講義内容全てが範囲となる。
教科書URL
 編集 今井 浩孝、小椋 康光
 出版 南江堂
 ISBN 978-4-524-40372-1
 価格 7,000円(税抜)
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参考書「衛生薬学 日本薬学会スタンダード薬学シリーズⅡ-5(東京化学同人)」
「ロスマンの疫学―科学的思考への誘い(篠原出版)」
「コンパス -衛生薬学-(南江堂)」
「必携・衛生試験法(金原出版)」
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履修上の注意本科目「疾病の予防」は、他の衛生薬学の科目や衛生薬学実習と深い繋がりを持っている。衛生薬学全体を通して学んでこそ、薬学の根底にある "人々の健康を守る" ことの深い理解に繋がる。講義を受ける心構えとして、広い視野を持ち、科目間の繋がりを意識して本講義に臨んでほしい。また、薬剤師国家試験の出題内容を念頭に入れた講義(必修科目)であること、下記「注意」にも記載のある通り予習・復習を前提とした講義を行うこと、理解度と習熟度を確かめるために定期試験のみならず到達度確認試験も実施されることの3点に注意してほしい。また、講義順は学生の習熟度に応じて変更する場合がある。

授業計画

注意講義では適宜レジュメや資料を配布する場合があるが、講義中の口頭説明のメモを徹底すると、試験に向けてよりよい学習が可能となる。自己学習(予習と復習)の際は写したノートやレジュメの「行間・余白」に自分の言葉にしたメモを書き込み、理解を深める努力をしてほしい。とくに、文部科学省では「1単位の科目を45時間の学習を必要とする内容を持って構成することを標準とする」と定めている。本科目の講義は2単位分であり、90時間の学習を要するが、1.5時間×15回では90時間に達しない。これは学生一人一人の習熟度が異なるため、90時間全てを講義で固めるのではなく、各々の課題に合わせた自己学習の時間を設けるといった狙いがある。つまり、必要十分な内容の講義を約束するが、それを噛み砕いて自分のものに昇華させるのは学生一人一人の自己学習に委ねる。講義では主として「理解」に重きを置いて、自己学習で、その理解した内容の「記憶」と「言語化」に専念できるように取り組むことを勧める。

不明な点やわからないことがあれば、随時対応するので遠慮なく担当教員に尋ねること。また、講義の順番および内容については進行度等によって変更することがある。その際は、教員より適宜指示を行う。