授業名 | 卒業研究1(99PQ114) | 授業名(英) | Independent Study and Thesis 1 |
教員名 | 松永 浩文 | ||
開講年度学期 | 2021年度 前期~後期 | ||
曜日時限 | 前期(集中講義)、後期(集中講義) | ||
開講学科 | 薬学部薬学科 |
単位 | 2.0 | 学年 | 4年 |
区分 | 卒業研究 | 課程 | 必修 |
概要 | 「卒業研究」では薬学・医療の進歩と改善に資するために、 研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を身につけることを目的にする。 卒業研究1では、薬学研究の重要性の理解と薬学研究を行うにあたっての基礎知識・技能の習得を主に行う。即ち、 1) 研究マインドをもって生涯にわたり医療に貢献するための、薬学領域における研究の位置づけの理解、 2)自らが実施する研究に係る法令・指針等の理解とそれらを遵守した研究の実施、 3) 研究のプロセスを通した、知識や技能を総合的に活用して問題解決能力の醸成(特に、i) 研究課題に関する国内外の研究成果の調査とその読解・評価;ii) 課題達成のために解決すべき問題点の抽出と、研究計画の立案) を中心に重点的に取り組む。 また、3) については、iii) 研究計画に沿った意欲的な研究への取り組み、iv) 適切な研究プロセスの記録と的確な結果考察、v) 研究成果の報告書としての定期的な取りまとめ、 vi) 研究成果の発表並びに適切な質疑応答、についても併せて取り組む。 |
達成目標 | 1) 基礎から臨床に至る研究の目的と役割について説明できる (G-1-1) 2) 研究には自立性と独創性が求められていることを知る (G-1-2) 3) 現象を客観的に捉える観察眼をもち、論理的に思考できる(知識・技能・態度)(G-1-3) 4) 新たな課題にチャレンジする創造的精神を養う(態度)(G-1-4) 5) 自らが実施する研究に係る法令、指針について概説できる (G-2-1) 6) 研究の実施、患者情報の取扱い等において配慮すべき事項について説明できる (G-2-2) 7) 正義性、社会性、誠実性に配慮し、法規範を遵守して研究に取り組む(態度)(G-2-3, A-2-4-3) 8) 研究課題に関する国内外の研究成果を調査し、読解、評価できる(知識・技能)(G-3-1) 9) 課題達成のために解決すべき問題点を抽出し、研究計画を立案する(知識・技能)(G-3-2) 10) 研究計画に沿って、意欲的に研究を実施できる(技能・態度) (G-3-3) 11) 研究の各プロセスを適切に記録し、結果を考察する(知識・技能・態度)(G-3-4) 12) 研究成果の効果的なプレゼンテーションを行い、適切な質疑応答ができる(知識・技能・態度)(G-3-5) 13) 研究成果を報告書や論文としてまとめることができる(技能)(G-3-6) 14) 反応廃液を適切に処理する (Adv-C3-14-3) ( ( ) 内はコアカリ番号) |
学習教育目標 | |
成績評価方法 | 以下に示す項目と比率で成績を算出する: 研究活動(100%) 総合成績の60%以上を満たしたものを合格とする。成績評価は大学及び学部が定める成績評価基準によって行う。達成目標の60%に達しなかった者を不合格とする。 なお、正当な理由がない限り欠席は認めない。 |
教科書 | 特に定めないが、有機化学に関する教科書は必ず保有しておくこと。 |
参考書 | 1)「ボルハルト・ショアー 現代有機化学」上・下 古賀憲司他監訳(化学同人) 2)「スミス 有機化学」上・下 山本尚他監訳(化学同人) 3)「ウォーレン 有機化学」上・下 野依良治他監訳(東京化学同人) 4)「有機化学実験のてびき〔1〕-物質取扱法と分離精製法」後藤俊夫他監修(化学同人) 5)「有機化学実験のてびき〔2〕-構造解析」後藤俊夫他監修(化学同人) 6)「機器分析のてびき」泉美治他監修(化学同人) 7)「実験を安全に行うために」化学同人編集部編(化学同人) 8)「続 実験を安全に行うために」化学同人編集部編(化学同人) |
履修上の注意 | 以下のSBOsについては、必ず修得しておくこと。 1) 医療・福祉・医薬品に関わる問題、社会的動向、科学の進歩に常に目を向け、自ら課題を見出し、 解決に向けて努力する(態度)(A-5-1-1) 2) 講義、国内外の教科書・論文、検索情報等の内容について、重要事項や問題点を抽出できる(技能)(A-5-1-2) 3) 必要な情報を的確に収集し、信憑性について判断できる(知識・技能)(A-5-1-3) 4) 得られた情報を論理的に統合・整理し、自らの考えとともに分かりやすく表現できる(技能)(A-5-1-4) 5) インターネット上の情報が持つ意味・特徴を知り、情報倫理、情報セキュリティに配慮して活用できる(知識・態度)(A-5-1-5) 6) 「薬剤師として求められる基本的な資質」について、具体例を挙げて説明できる (A-5-2-1) 7) 薬学が総合科学であることを認識し、薬剤師の役割と学習内容を関連づける(知識・態度)(A-5-2-2) 8) 生涯にわたって自ら学習する重要性を認識し、その意義について説明できる (A-5-3-1) 9) 生涯にわたって継続的に学習するために必要な情報を収集できる(技能)(A-5-3-2)自主性・積極性が求められるので、主体性をもって積極的に取り組むこと。 卒業研究は、今後永きにわたって薬学人として携わっていくためは必須の経験であり、この経験から得られる科学的見地からの物事の見方・考え方というものはどんな座学を以ってしても習得することはできない貴重なものである。研究室における全ての活動について、主体性をもって積極的に取り組むこと。 繰り返すが、実験報告会や論文紹介を含め正当な理由のない欠席及び遅刻は厳禁。 なお、アレルギーなど研究を行う上で特別な配慮が必要な場合は予め担当教員に相談する事。 |
授業計画 | 1) 薬学研究を行うにあたり、必要不可欠なルールや心構え、基本的技能等について学ぶ。 2) 薬学における研究の位置づけを理解する。 3) 自らが実施する研究に係る法令、指針を理解する。 4) 各卒論指導教員との話し合いのもとテーマを設定し、研究目的を明確にする。 5) 当該テーマに関連する既知報告を調査、精読する。 6)指導教員とディスカッションを行い、研究目的を明確にする。 7) 指導教員と共に研究計画を立案し、法令や安全性を遵守・担保しながら指導教員のもとで実験を行う。 8)得られた実験データを解析し、考察を加える。 9)得られた実験結果と考察より、更なる実験計画の立案、実験・データ解析・考察を行う。 10) 実験結果と考察をまとめ、研究室等の研究報告会で発表する。 11) 優れた研究成果は、学会発表や学術論文への投稿を目指す。 当研究室では精密不斉合成に関する研究を実施しているので、より具体的には以下の項目を実施する: 1)研究遂行に必要な基礎的実験手技を習得する。 2)各自に与えられた研究テーマの薬学領域における重要性を理解する。 3)研究テーマの世界的背景を理解するための関連論文(主に英文)を調査し読解・理解する。 4)論文調査のためにSciFinder利用法を取得する。 5)指導教員の指導のもと各研究テーマに従って研究を実施する(テーマ毎の実験手技の取得)。 6)実験内容(反応、試薬の種類と量、実験方法、結果)を実験ノートに正確かつ明確に記載する(ボールペンで記載することが望ましい)。 7)データ解析並びに実験結果をもとに、研究打ち合わせや実験報告会で指導教官若しくは他教官更には同学年とディスカッションを行うと共に、次の実験に向けての計画・準備を行う。 8)実験プロトコルを自ら作成・実施する。 9)実験及び実験報告会及び論文紹介の資料作成に必要なパソコンソフト使用法(ChemDraw, Chem3D,等)を習得し、それらを用いてプレゼンテーション資料を作成する。 10)実験報告会及び論文紹介に参加し、担当の発表を行うとともに、積極的に発言もしくは議論に関与する。 11)実験室内では安全性を考慮して白衣・保護メガネを着用し、有害ガス発生を考慮したドラフトの利用、反応性などの考慮など、安全面を常に配慮する。 12)実験廃液は下水に流さず、後処理方法を考慮し所定の分類に従った容器へ分別廃棄を行う。また、その根拠となる法制度を理解する。 当分野の研究課題は以下の通り。これら研究課題の関連項目を卒論テーマとして各自に独立して与える。 なお、夫々のテーマについては薬品製造化学分野の田村雅史講師、安山卓郎助教と密接に連携しながら研究を推進する。 当面は、“「堅い」骨格を持つ触媒を基盤とした高効率不斉反応系の開発と応用展開”に主眼を置き研究を進める。 (1)単純複素五員環を利用した高効率不斉合成プロセスの開拓と展開 1)単純複素五員環を利用した高度不斉補助剤・触媒の開発: A) 配座固定「堅い」cis-2-アミノアルコール母核若しくはcis-2-アミノアルコール母核と「柔らかい」側鎖が織りなす新規高効率不斉触媒(有機分子触媒、金属触媒)の開発と応用展開 B) 高度遮蔽型三環系人工不斉源を利用した新規不斉反応系の構築 C) 高度遮蔽配座固定型cis-2-アミノアルコール、cis-1,2-ジアミンを利用した新規不斉反応系の構築 2)単純複素五員環を利用した生物活性物質類(2-アミノアルコール、1,2-ジアミン、等)の汎用合成法の開発 (2)ビシクロオクタン[3.3.0]オクタン骨格を利用した高効率不斉合成プロセスの開拓と展開 1)ビシクロオクタン[3.3.0]オクタン骨格を利用したキラルビルディングブロックの開発と応用展開 2)剛直な配座を期待する不斉触媒の開発と触媒的不斉反応の開発 |
注意 | 研究室内では常に危険予知の意識を持ち、課題に真摯に取り組むこと。気の緩みや怠慢な態度は直ちに大事故につながる。 |
- 教員: 松永 浩文